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こんにちは

今日は世界中でつくられているスパークリングワインの製法についてお話したいと思います。

スパークリングワインで最もメジャーなワインはやはりシャンパーニュ(シャンパン)ではないでしょうか?

このシャンパーニュはフランスシャンパーニュ地方でつくられたもののみに適用される名前で

世界各国の地域でも作られ、同製法で造られるものは
伝統的方式(Traditional Method)と呼ばれています。



この製法は瓶内2次発酵と言い
上質の発泡性ワインの生産で最もよく使われる方法で、とても費用と時間がかかります。

製造工程は
①ベースワインの製造
この段階のワインは味わいのベースとなります。
製造にあたり、ブドウは酸度が高くなければなりません。
生産者は辛口の味わいを常に求めていて、なぜならば糖度がある程度あり、しっかりと酸も残っていないと、最終的な味わいに甘味のみが残って、バランスの悪い味わいになってしまう為です。(早くしっかり熟して糖度があがってしまうと、酸が減退してバランスが悪いワインになる為。)
しっかりと酸を残した状態で完熟させるには冷涼な地域での栽培は必須となります。
シャンパーニュ地方や各国のスパークリングの生産地域は標高や緯度が高い冷涼な地域が多く、ブドウが熟すまで時間が必要で、見極めと手作業での収穫、手間と労力がかかり価格に反映されるという訳です。

このベースワインは様々な製法でつくられ、糖度の低さからAlcは10~11%で止まってしまいます。
完全な辛口に仕上げられたワインは酸度を調整する為にマロラクティック発酵を施される事もあります。
ステンレスでの発酵や、一部の生産者は、ワインの一部または全部を発酵させるのにオークの大桶または樽を使用します。様々な品種や畑の区画、ベースワインを沢山もっている生産者はブレンドの幅が広がり、一貫した味わいの追及が容易になる為です。
つくられたほとんどのベースワインは収穫の翌年に使用されることが多く、こうした「リザーヴ」ワインは、ブレンドの過程で重要な役割を果たします。

②ベースワインのブレンド;
上記の説明のように様々な発酵、収穫年の違うワインをブレンドする為ノンヴィンテージ(NV)の表記がよく用いられます。
このブレンド作業は、
第1に、生産者の特定のハウススタイルの発泡性ワインを造ることを目指して造られます。
第2に、ワインのバランスを向上させることができ。
品種特性
シャルドネ:ブレンドワインに柑橘類の風味と優雅さと寿命の長さをもたらすと考えられている
ピノノワール:ブレンドに使うと、赤系果実の香りと風味およびボディの重厚さが加わります。
第3に、複雑さの増したワインを造る事ができ。
古いリザーヴ・ワインは、若いワインの新鮮な風味にドライフルーツの風味を加えることができたり、
一部の生産者は、広がりのある感触とボディ、香辛料の風味をワインに加えるために、オークを使って熟成させたワインをブレンドにつかうことがあります。

③アルコールの二次発酵
ベースワイン(1次発酵)のブレンドが完成すると、少量のリクール・ド・ティラージュが加えられます。これは、ワイン、糖分、酵母、酵母の栄養分、清澄剤を混ぜたもので、瓶内でゆっくりしとした発酵過程が始まり、アルコール度がおよそ1.2から1.3%vol.上昇し、酵母によって生成された炭酸ガスがワインに溶け込んで、気泡が産まれます。
ボトル内には5から6気圧に相当する圧力が生まれます。
追い発酵ですね。

④酵母の自己分解
アルコールの2次発酵が完了すると、酵母は死滅し、澱となって瓶内に沈殿していきます。数ヶ月すると、その死んだ酵母細胞が分解し始めて、化合物をワインの中に放出する。こうした化合物は、パンやビスケット、トーストといった風味をワインに与えます。
通常、酵母の自己分解は4から5年間続くが、長ければ10年も続きます。
この時間が長いほど、酵母の特性が前面に出てきます。

やはり時間のかかる作業ですね。


⑤ルミアージュ(動瓶)
水平状態にある瓶をゆっくりと下向きの垂直の位置に動かす作業。
酵母の沈殿物は瓶の側面を少しずつ滑り落ちながら、王冠型キャップに付いたプラスチック製カップに溜まっていく。瓶はピュピートルと呼ばれる棚の穴に水平に配置され、毎日優しく揺すってひねる動作をくりかえしながら、徐々に瓶を垂直状態へおっ近づけていきます。
熟練された感覚と完了までに最高8週間かかりここにもコストが産まれます。
最近ではジロパレットといった油圧式アーム上のケージなどが使われ、機械化されています、
これにより、数日でこの作業が終わり、大幅なコストの削減ができます。
こだわりのある生産者は昔ながらの手作業を現在も続けています。

⑥デゴルジュマン(澱抜き)
逆さになった瓶のネックを超低温の塩水に浸けて、ネック部分のワインを凍結させる。王冠型キャップの栓を取り除くと、溶け込んでいた炭酸ガスの圧力によって、澱の入ったワインの氷塊がプラスチック製カップと一緒に押し出される。
その後、リクール・デクスペディシオンを注ぎ足し、コルクで栓をして針金で固定する。リクール・デクスペディシオンは、ワインと糖の混合物で、ここで使用される糖の量が最終的なワインの甘味が決まります。
この糖はドサージュと呼ばれ酸味と糖のバランスをとる事と、風味の発達を助長します。
この段階で糖を添加しないで造られるワインは、ブリュット・ナチュール、ゼロ・ドサージュと表示されます。
リクール・デクスペディシオンに含まれるワインは若くて新鮮だったり、オークを使った熟成によるトーストの風味がしたり、何年間もの瓶内熟成で発達したドライフルーツの風味を示したりします。
生産者の思惑が反映される最後の箇所ですね。
現在ではラベルにデゴルジュマンの日付を含める生産者が多く、皆さんの口に入るまでの熟成度合もノンヴィンテージであってもわかるという事です。

少し親切になったのでしょうか
文字に起こすと長く疲れる内容ですが、やはりこれだけ手間と労力をかけたシャンパーニュ、スパークリング界のなかでも有名なのはうなずけます。

vivoでは価格的にお出しする事は難しいですが、この瓶内2次製法、他の地域、国でも造られていて、たまにご紹介できる事もあります。

その他にも、色々な製法があり、優劣をつけるというより、その製法の意味が分かれば、また趣も違ってくるのではないでしょうか?

次回はその違った製法をご紹介できればと、思います。


それでは


松尾